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最もシンプルで役に立つ『問題解決能力』フレームワーク

デザイン思考を日常に活かして、行動も選択も止まらない人生へ

大学生になるくらいからやたら耳にするようになるスキルー問題解決能力。

学校でも重要なスキルと強調されるし、

就活中の面接でも聞かれるし、

レジュメのヘッドラインやスキルのセクションでもよく目にする。

なんとなく、みんなが重要なスキルだと認識している。

でも、実際この『問題解決能力』がなんなのか明確に説明できる人は少ない。

一丁前に経験ばかりあるポジションにいる上司も、

学校で問題解決能力の大切さを説いている教授も、

その多くは実際にこのスキルを解剖して説明する人はほとんどいない。

問題解決能力=問題を解決する能力?

違う。浅すぎる。

状況に合った答えをいかに早く、効率よく見つけてくるスキル?

それっぽいけど、これも抽象的で何が言いたいのかは結局わからない。

僕も以前はこのように考えていた。

生きていく中で壁にぶつかるたびに、すぐに効率を最大化して”正しい”解決策を探そうとしていた。

なんとなく、この”正しい答え”さえ見つかれば、直面している壁は消えて無くなるものだと思っていた。

ただ、この”正しい答え”を探せば探すほど、迷子になった。

考えれば考えるほどに悩みは増えていき、行動できなくなった。

大学3年の時、「ある考え方」に出会った。

それを習得し、問題解決へのアプローチを根本から変えてからというもの

  • 無駄な思考が圧倒的に減り、意味のある行動の量が格段に増えた

  • 問題解決という行為が苦痛から、知的好奇心を煽る楽しい暇つぶしに変わった

やっと、『問題解決能力』の正体が自分の中でストンと腹落ちした。

この問題解決に関するモヤモヤを全てとっぱらってくれた考え方が

『デザイン思考』

本レターではこの『デザイン思考』を使いながら、『問題解決能力』とその身につけ方について、話していく。

そもそもなぜ多くの人が問題解決能力を間違えるのか

デザイン思考について深く見ていく前に、

そもそもなぜ多くの人が持つ、問題解決能力に関する誤解と、なぜその誤解を持ったままだとまずいのかについて話す。

最初にも話したが「問題解決能力=”正しい答えを早く見つけるスキル”」と考えている人は多い。

そもそも、生きていく中で、ビジネスの中で出会う問題に”正しい答え”なんてものはない。

それぞれの問題にはシチュエーションや前提条件といったコンテクストがあり、このコンテクストを正しく理解し、考慮した場合でも未だ多くの潜在的な解決策が存在する。

つまり、『問題解決能力』とは複雑なコンテクストの中で今の自分たちが取れる解決策の中で良さそうなものを試しながら、その時のベストを探すということになる。

こう考えると、”正しい答え”をいち早く探そうとするアプローチには問題しかない。

今壮大なキャリアを築いている人だって最初からそのキャリアや生き方を”正しい答え”として見つけていたなんてことはない。

ほとんどの人が色々試していく中で今の”正しい答え”に見える形に近づいているだけ。

そして、もう一つ誤解されがちなのは「『問題解決能力』において最も重要なのは解決策ではなくて、問題に対する理解である」こと。

誰がその問題を抱えているのか?

どんな条件下での問題なのか?

そもそもなぜその問題が生じたのか?

挙げればキリがないが、問題を正しく理解するにはこういった前提条件を理解できるだけ理解して、問題に対する解像度を限りなく高める人ようがある。

これが疎かになると、どれだけ見栄えと聞こえがいい解決策ができあがろうが、結果として元あった問題の解決にはならないなんてことになりかねない。

スタートアップの世界でも『正しい答え』でなく、『正しい問題』を突き詰めることで成功する確率は上がるといった話もあるように、

間違った問題を完璧に解決したところで、それは『問題解決』としてはただの失敗でしかない。

ではどうやったら実際に体系化したアプローチを持って問題解決に挑めるのか?

それを解決する『デザイン思考』について深く見ていく。

普遍的な問題解決への糸口:デザイン思考

デザイン思考に出会ったのは大学3年の後半、学生起業に興味を持ち大学附属のスタートアップスタジオに足を運んだ時だった。

デザイン思考ワークショップに参加した時に、ちょっとしたアクティビティを通して、チームで問題解決の模擬演習をした時だった。

目から鱗だった。それまではさっき話したよくある誤解のように『問題解決=解決策を見つけること』だと思っていた自分の頭の中で問題解決のためのステップが体系的に理解できたのを今でも覚えている。

レターではアクティビティは行えないので、コンセプトについて話す。

簡潔に話すと、デザイン思考とは問題解決のための一つのフレームワークで以下の要素から成り立つ。

デザイン思考の5ステップ

  1. 共感する(Emphathize)

相手の立場に立ち、観察・傾聴・インタビューを通して「本当の困りごと」や感情を理解する。表面ではなく、内側にある動機や葛藤に目を向ける。

  1. 課題を定義する(Define)

得られたインサイトから、解くべき「本質的な問題」を再定義する。課題の枠を広げたり、視点を変えることで、より深い問いへと昇華させる。

  1. アイデアを出す(Ideate)

批判・制限なしで、量を重視してアイデアを出し尽くす。奇抜でも荒削りでもいい。異なる視点や枠組みを使って、想像を超える選択肢を生む。

  1. プロトタイプをつくる(Prototype)

小さく・早く・雑でもいいので、アイデアを形にする。手を動かすことで考えが進み、ユーザーやチームからの具体的なフィードバックを得られるMVPを作る。

  1. 検証する(Test)

実際に人に見せて、使ってもらって、どう感じるか、何がズレているかを観察する。「失敗」ではなく「学び」として、アイデアや視点を柔軟にアップデートする。

ここでさらに重要な点がいくつかある。

  • 解決すべき課題は、最初から明確とは限らない

  • 「正解」を探すのではなく、問題に没頭して解決策を「共に創る」ことが目的である

  • 感じる → 考える → つくる → 試す を高速でまわすのが鍵

  • 1から5までを順番にこなしていく一度きりのプロセスではなく、何度も繰り返しながら必要に応じて必要なステップに戻りながら完成させていくプロセス

中でも、特に重要なのが最初の2つのステップ。

先に軽く触れたようにデザイン思考ではとにかく『問題をできるだけ正しく定義』することに重きをおく。

Emphathize(共感する)の中にさらにもう一つ掘り下げたImmerse(没入する)といったステップもあり、これはその名の通り、問題を抱える人の毎日を実際に体験してみて身をもって自分で問題を感じるというもの。

2で定義した問題は常に頭においておき、プロトタイプやその検証を行っている際にも困ったら元に戻ってくるための大きな指針としての役割を果たす。

そして、独立したステップとしては明記されていないが、デザイン思考のコアの考えとしてもう一つ重要なのが

「手を動かすこと」>>>「考えること」

という価値観。

行動の伴わない思考に意味はなく、行動にあとからついてきた思考を検証していけばいいというコンセプトのもと、

とにかく行動するのもこのフレームワークの利点であり、問題解決までの近道。

何事でも成功する人はとにかく思考してから行動するまでの時間が短いことが多いとはよく言われるが、まさにこのフレームワークはこの「思考→行動」へのスピードに重きを置いている。

といった感じで、デザイン思考のプロセス自体はコンセプトを説明するのに時間はかからないとてもシンプルな思考法だが、その効果は絶大。

特に、これを活用することで無駄なミーティングや話し合いが減り、行動が増える。

ここまで読んで、

「でも、これはあくまでビジネス向けの思考法でしょ」

と思った人がいるかもしれない。

確かに、デザイン思考はもともとプロダクト開発やUX設計の現場から生まれたもの。

でも本質は、「答えのない問題」に対して、“手を動かしながら仮説を立て、検証し、前に進む”というアプローチにある。

そして、これは人生にもそのまま使える。

「答えがわからない」「迷いが続く」「動けない」

そんな日常のモヤモヤこそ、実は“デザイン”の対象になる。

ここからは、このデザイン思考をどうやって人生の意思決定や自己設計に活かしていけるかを見ていく。

デザイン思考を人生に応用する

「人間は、自分で課した課題に挑むことでしか、本当には変われない。」

自分で問いを立て、自分の手で動き、試し、学び、成長する。

これこそ、人生を楽しくすることであり、最強の暇つぶし。

そして、この“問いに挑む力”こそが、

デザイン思考で鍛える「問いの立て方と試し方」そのもの。

問いがない人生は、他人のTo-Doリストをこなす日常と変わらず、

Netflixを見続け、他人の問題を解き続けるだけの人生になる。

ここからは、このフレームワークを使って実際にどう人生を設計できるか?

具体的なシナリオに沿ってみていく。

例1:キャリア迷子になっているとき

「自分は何がしたいのかわからない。なんとなく転職した方が良さそう」

こんな問いは誰もが持ったことがあると思うが、ただ闇雲になんとなく、転職先を探したところで計画に具体性が出ないし、そもそも行動するまでの動機が起きないことがほとんど。

こんな状況にデザイン思考をアプライするならこうする。

Emphathize(共感)& Define(問題定義)

まずそもそも「なぜ自分が転職やキャリアチェンジについて考えているのか自分に問う」

  • ただ上司が嫌いなだけなのか

  • 元同僚がスタートアップに映って楽しんでいるのをみてFOMOを感じているのか

  • それとも、ただ今の給料に満足がいかず、給与を上げたいのか

これの答えを元に、実際の課題を「キャリア迷子」といった抽象的なものから、「給与に満足がいかないから今より少なくとも100万円多くもらえる企業に移る。できれば平均勤務時間を下げる」のようなより具体的で解像度の高いものに再定義する。

Ideate(アイデアを出し尽くす)、Prototype & Test(検証する)

これができれば次は、その仕事を手にするための具体的な方法を片っ端から並べてみて、それぞれをとにかく試していく。

その中で、少しでもうまくいったものへさらにリソースを割く。何もうまくいかなければアプローチをさらに変えてみる。

こうやってみてみると、デザイン思考のフレームワークに従うことで、無駄な悩みや思考が減り、より解像度の高いゴールに向けて一気に必要な作業にだけリソースを避けることがわかりやすいはず。

もう一つ例を挙げて、デザイン思考の応用についてみてみる。

例2:英語学習を習慣化したいのにできないとき

これからの時代、英語ができないとやばそうだから英語を勉強する!

そんな動機を持って英語の勉強を始めても実際忙しい中で英語学習を続けるのは難しい。

英語学習者は特に英語学習が続かないことへの問題意識が間違った方向に向いている人が多い。

Emphathize(共感)& Define(問題定義)

英語を学習する本当の目的はなんのか自問自答してみる。

  • TOEIC900点とってXで自慢することが目的なのか?

  • 英語を勉強してTOEIC900点を取ったその先で情報商材で稼ぐことが目的なのか?

  • はたまた、TOEICなんかどうでもよくて、クラブで綺麗な外国人をナンパできればいいのか?

  • それとも、本気でアメリカに移り住んでドルでガッツリ稼ぐのが目的なのか

この辺をはっきりさせないと、そもそも英語学習へのモチベーションが続くわけがない。

仮に最後に挙げた「本気でアメリカに移り住んでドルでガッツリ稼ぐ」のが目的だとすると、

おそらく問題は「英語学習が続かないこと」ではなくて、「日本人として本気でアメリカで仕事して稼ぐために必要な英語スキルとその習得方法をそもそも具体的に知らない」ことが問題になってくる。

この問題の再定義がなされたことで次の行動をリストできるようになる。

Ideate(アイデアを出し尽くす)

  • アメリカ現地で働く人の実体験から情報を探しまくる

  • 非ネイティブとして本気で使える英語を習得する方法を探す

  • 見つけた情報から、自分でも現実的に真似できそうな方法を片っ端から書き出す

Prototype & Test(検証する)

集めて書き出した情報から、自分なりの『英語学習の計画』を作って、速攻で実行する。

勉強をしながらアプリを使ったり、バーに行ったりして、ネイティブの人と実際に英語で話してみる。

その中で、わからなかった単語を聞く、通用した部分とそうでない部分を洗い出して、『英語学習の計画』を練り直すなり、そのままにしてボリュームを上げるなりして工夫する。

ここまで来てまた振り返ってみてほしい。

自分が再定義した問題解決のために必要だったのは当初悩んでいた「英語学習が続かない」という曖昧な問題じゃなくて、「効率的で今の自分に必要だった勉強法がわかっていなかった」ことだったことに気づくはず。

そして、何より無駄な思考や悩みがない。

あるのは問題解決に必要な行動の積み重ねとプランの実行と検証のみ。

もちろん、これらは例で実際に行動を起こして進み続けることは簡単なことではない。

ただ、「行動>>>思考」に重きを置き、正確に問題を捉え、その解決に向けて意味のある行動を促すデザイン思考を当てはめることで確実に行動の数は増えて、課題解決に近づくはず。

ここまで読んできた人はもう理解したはず。
「問題解決能力」とは、正解を探すスキルではない。
問いを立て、手を動かし、仮説と行動を通じて自分なりの答えを創っていく、課題解決への道を設計するスキル。

難関プロダクトの開発や世界的企業の事業戦略にだけ使われるスキルではない。
むしろ、就活、英語、キャリア、恋愛、移住、起業どんなの局面でも活きる「思考フレームワーク」。

これを人生に応用できれば人生の設計スキルになる。

これから課題にぶつかった時、または自分自身の成長のために課題を課す時にはこの『デザイン思考』を応用してみてほしい。

ー Toma

お知らせ:

デザイン思考に関してさらに深く学びたい人はStanfordのd.schoolが出しているマテリアルから学ぶことをお勧めします。

また、8月から1ヶ月間僕も実際にd.schoolでデザイン思考をさらに学んでくるので、終わり次第この体験も noteにまとめようと思うので良ければnoteもフォローしておいてください。

noteで『アメリカのお金101』というマガジン始めました。

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